アルテミス計画で日本人宇宙飛行士が月へ行くのはいつなのか、「2028年に日本人が月面着陸するの?」「誰が月へ行くの?」と気になっている人も多いでしょう。日本人の月面着陸そのものは日米間で具体的な機会が確保されていますが、実施するミッションや宇宙飛行士はまだ正式発表されていません。
2026年9月時点で、日本政府は2020年代後半の日本人宇宙飛行士による月面着陸を目指しています。NASAはアルテミス計画で最初の有人月面着陸を2028年のアルテミスIVに予定しているため、2028年は注目すべき年です。ただし、「日本人が2028年に着陸する」と決定しているわけではありません。最新の日程、日本人に与えられた月面着陸機会、候補となる宇宙飛行士まで整理します。
アルテミス計画で日本人が月面に立つのはいつ?2020年代後半が現在の目標

最も知りたい結論からいうと、日本人宇宙飛行士が月面に着陸する具体的な年月やミッション番号は、2026年9月時点では発表されていません。一方、日本政府は「2020年代後半」の実現を目指す方針を維持しています。
日本政府は2020年代後半の月面着陸を目指している
日本では以前から、アルテミス計画を利用して日本人宇宙飛行士を月面へ送ることを目標としてきました。さらに2024年4月、日本と米国の間で月面探査に関する新たな取り決めが結ばれ、日本人宇宙飛行士に2回の月面着陸機会を提供することが明確になりました。
2026年2月にNASAがアルテミス計画のミッション構成を変更した後も、文部科学省は同年3月の大臣記者会見で、日米間の有人与圧ローバ開発などの国際約束に変更はないとの認識を示し、「2020年代後半の日本人宇宙飛行士の月面着陸」を目指す方針を示しています。
つまり、計画変更によって日本人の月面着陸そのものが白紙になったわけではありません。正確には、月へ行く権利・機会は確保されているものの、その実施時期がまだ割り当てられていないという状況です。
最も早ければ2028年のアルテミスIVが候補になる
NASAが2026年9月時点で示しているスケジュールでは、アルテミス計画で宇宙飛行士が再び月面へ降りる最初のミッションは「アルテミスIV」で、2028年初頭が目標です。NASAのアルテミスIV公式ページでも、有人月面着陸ミッションとして2028年初頭の実施が示されています。
そのため、日本人の月面着陸について「早ければ2028年」と考えることには一定の根拠があります。実際、過去の文部科学省の会議でも、当時のミッション計画を前提として「早ければアルテミス4号機」とする説明がありました。
ただし、現在もアルテミスIVの月面着陸メンバーとして日本人宇宙飛行士が正式指名されたわけではありません。アルテミスIVでは4人の宇宙飛行士が月周辺へ向かい、そのうち2人が月面へ降りる計画です。限られた2席の一つに日本人が選ばれるかどうかは、今後のクルー発表を待つ必要があります。
2028年でなければ2029年以降になる可能性もある
日本政府の目標は「2028年」と一点を指定しているのではなく、「2020年代後半」です。そのため、アルテミスIVに日本人が含まれなかった場合でも、日本人の月面着陸計画が失敗したことにはなりません。
NASAはアルテミスIV以降も月面ミッションを継続し、定期的な有人月面着陸を目指しています。したがって、アルテミスVやその後のミッションに日本人が搭乗する可能性もあります。
現時点での整理は「2028年が最速候補の一つ」「2020年代後半が日本政府の目標」「正式な搭乗ミッションは未定」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
アルテミス計画の最新スケジュールはどうなっている?

「アルテミスIIIで人類が月に戻る」という情報を見たことがある人は注意が必要です。アルテミス計画の日程とミッション内容は何度か変更されており、古い記事では現在と異なる予定が掲載されている場合があります。
| ミッション | 2026年9月時点の主な内容 |
|---|---|
| アルテミスI | 2022年に実施。無人のオリオン宇宙船で月周辺を飛行 |
| アルテミスII | 2026年4月に実施。宇宙飛行士を乗せて月の裏側を飛行し帰還 |
| アルテミスIII | 2027年予定。地球低軌道で月着陸船とのランデブー・ドッキングなどを実証 |
| アルテミスIV | 2028年初頭を目標。現在の計画ではアルテミス初の有人月面着陸 |
| アルテミスV以降 | 継続的な有人月面探査を実施する計画 |
アルテミスIIは2026年4月に有人月飛行を実施
アルテミスIIは、アルテミス計画で初めて宇宙飛行士を乗せたミッションです。日本時間2026年4月2日に打ち上げられ、オリオン宇宙船が月の裏側を飛行した後、日本時間4月11日に地球へ帰還しました。
このミッションでは月面には降りていません。目的は、宇宙飛行士を乗せたオリオン宇宙船や生命維持システムなどが、地球から遠く離れた環境でも正常に機能することを確認することでした。
有人で月付近まで到達したこと自体が、今後の月面着陸に向けた重要な段階です。ただ、「人が月へ行った」というニュースと「月面に着陸した」というニュースは意味が異なるため、区別して考える必要があります。
アルテミスIIIは2027年予定だが月面着陸はしない
特に情報が混乱しやすいのがアルテミスIIIです。以前のNASA計画では、アルテミスIIIがアポロ計画以来となる有人月面着陸ミッションになる予定でした。そのため、過去の記事には「アルテミスIIIで月面着陸」と記載されているものが多数あります。
しかしNASAは2026年に計画を変更し、アルテミスIIIを2027年に実施する地球低軌道での実証ミッションとしました。オリオン宇宙船とSpaceXやBlue Originが開発する商業月着陸船とのランデブー、ドッキングなどを試験し、その後の月面着陸に備えます。
さらにNASAは2026年6月、アルテミスIIIの搭乗員4人を発表しています。日本人宇宙飛行士は含まれていませんが、そもそも現在のアルテミスIIIは月面着陸ミッションではないため、「日本人初の月面着陸がアルテミスIIIになる」ということもありません。
最初の有人月面着陸は2028年のアルテミスIVへ変更
現在、NASAが人類を再び月面へ着陸させるミッションとして位置付けているのがアルテミスIVです。打ち上げ目標は2028年初頭で、月の南極付近を探査する計画です。
月の南極が重視される理由の一つは、永久影になっている領域などに水の氷が存在する可能性があるためです。将来的に水を生命維持へ利用したり、水を分解して酸素や水素を得たりできれば、継続的な月面活動に役立つ可能性があります。
アルテミス計画がアポロ計画と大きく異なるのもこの点です。一度月に行って帰ることだけではなく、月周辺や月面で持続的に活動できる仕組みを作り、その経験を将来の火星有人探査につなげることが目標になっています。
なぜ日本人が月面に着陸できることになったのか

日本人の月面着陸は、単にNASAの宇宙船に日本人を乗せてもらうという話ではありません。日本がアルテミス計画で重要な技術や装置を提供する国際協力の一環として、宇宙飛行士の活動機会が確保されています。
2024年の日米合意で2回の月面着陸機会を確保
大きな転機となったのが2024年4月です。NASAと日本の文部科学省は「与圧ローバによる月面探査の実施取決め」に署名しました。日本側が月面を走行する有人与圧ローバを開発・運用し、NASA側がローバの月への輸送などを担当する国際協力です。
この取り決めに伴い、NASAは日本人宇宙飛行士に2回の月面着陸機会を提供することになりました。NASAの日米月面探査協力に関する発表でも、日本人宇宙飛行士が月面へ向かう2回の機会が示されています。
「日本人がいつか月へ行ければよい」という希望だけの段階から、実際に2回の月面着陸機会が国際的な取り決めに組み込まれたという点が重要です。
「米国人以外で初めて月面に立つ」ことも日米の共通目標
2024年の日米首脳会談では、重要な条件が達成されることを前提として、将来のアルテミスミッションで日本人宇宙飛行士を米国人以外で初めて月面に着陸させるという共通目標も発表されました。
これが実現すれば、日本人として初めて月面に立つだけではありません。これまで月面を歩いた人類はすべて米国人であるため、米国籍以外の宇宙飛行士としても歴史上初となります。
ただし、この表現には「重要なベンチマークが達成されることを前提に」という条件があります。つまり、政治的な合意だけで搭乗が自動的に決まるわけではなく、日本側の技術開発やミッション全体の進捗なども重要になります。
日本が開発する有人与圧ローバは月面活動の重要設備
日本が担当する代表的な装備が「有人与圧ローバ」です。簡単にいえば、宇宙飛行士が宇宙服を脱いだ状態で乗り込み、生活しながら月面を長距離移動できる車両です。
宇宙飛行士が宇宙服だけで月面を徒歩移動できる範囲には限界があります。与圧された車内で食事や睡眠を取りながら移動できれば、着陸地点から遠く離れた場所まで探査範囲を広げられます。月面で長期間活動するアルテミス計画では重要な設備になると考えられています。
ここで注意したいのは、日本人宇宙飛行士の最初の月面着陸と、有人与圧ローバが実際に月で運用される時期が必ずしも同じではないことです。日本の貢献と宇宙飛行士の搭乗機会は密接に関係していますが、「ローバが完成したミッションで初めて日本人が月へ行く」と決まっているわけではありません。
月へ行く日本人宇宙飛行士は誰?候補はまだ決まっていない

「日本人が月へ行くなら米田あゆ宇宙飛行士?」「諏訪理宇宙飛行士では?」という疑問もあります。しかし2026年9月時点では、日本人初の月面着陸を担当する宇宙飛行士は正式発表されていません。
現在のJAXA宇宙飛行士は6人
JAXAの宇宙飛行士公式ページでは、2026年時点で星出彰彦、油井亀美也、大西卓哉、金井宣茂、諏訪理、米田あゆの6人がJAXA宇宙飛行士として掲載されています。
このうち諏訪理宇宙飛行士と米田あゆ宇宙飛行士は、2023年に宇宙飛行士候補者として選抜され、2024年10月に正式なJAXA宇宙飛行士として認定されました。基礎訓練にはISSだけでなく、月周回有人拠点や月面活動など将来の探査を意識した内容も含まれています。
新しく選ばれた2人がアルテミス時代を見据えた宇宙飛行士であることは確かですが、それだけで「米田さんか諏訪さんが月へ行く」と決まるわけではありません。経験豊富な既存のJAXA宇宙飛行士も含め、正式な発表までは候補者を断定できません。
諏訪理宇宙飛行士は2027年ごろのISS長期滞在へ
JAXAは2026年1月、諏訪理宇宙飛行士を2027年ごろの国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在員に指名したと発表しました。諏訪宇宙飛行士にとって初めての宇宙飛行となる予定です。
これは月面ミッションへの指名ではありません。ISSでの長期滞在経験が将来の月探査に生かされる可能性はありますが、「ISSへ行ったから次は月」「2027年のISS任務があるから月へ行けない」といった単純な判断もできません。
月面ミッションでは、宇宙船の操作、船外活動、科学調査、医学的適性、過去の飛行経験、国際チーム内の役割など多くの条件を考慮してクルーが選ばれると考えられます。
米田あゆ宇宙飛行士も月面着陸が決定したわけではない
米田あゆ宇宙飛行士は医師としての経歴を持ち、2024年に正式な宇宙飛行士となりました。若い世代の宇宙飛行士として注目度が高いため、「日本人初の月面着陸者になるのでは」と期待されることがあります。
しかし、現時点でNASAやJAXAからそのような搭乗決定は発表されていません。性別についても同様で、「日本人初の月面着陸者が女性になる」と決まっているわけではありません。
日本人の月面着陸が2028年と断定できない理由

日本人が月へ行く時期を考えるうえでは、宇宙開発の日程が一般的なイベント予定とは大きく異なる点も理解しておく必要があります。ロケットだけが完成しても月面着陸は実施できず、複数の巨大システムが同時に準備できなければなりません。
月着陸船の完成時期がミッション日程を左右する
アルテミスIVでは、宇宙飛行士はオリオン宇宙船だけで直接月面へ降りるわけではありません。月付近まで移動した後、月着陸船へ乗り換えて月面へ向かいます。
NASAはSpaceXとBlue Originによる商業有人着陸システムをアルテミス計画に組み込んでいます。2028年のアルテミスIVでどの着陸船を使用するかについても、NASAは着陸船の準備状況が判断材料になるとしています。
大型宇宙船が人を乗せて月面へ安全に降り、再び月から離陸して宇宙飛行士を帰還させるには極めて高い信頼性が必要です。開発や試験で問題が見つかれば、有人月面着陸の日程が後ろにずれることも十分に考えられます。
宇宙服やSLS、オリオンなどもすべて必要
必要なのは月着陸船だけではありません。宇宙飛行士を打ち上げる大型ロケットSLS、宇宙飛行士が乗るオリオン宇宙船、月面で使用する宇宙服、通信・航法設備などが連携して初めてミッションが成立します。
アルテミス計画の日程が過去に何度も見直されたのも、安全性を確認しながら多数の新しい技術を同時に実用化しているためです。以前はアルテミスIIIで2026年に月面着陸する計画が示されていましたが、現在は2028年のアルテミスIVへ変更されています。
そのため、2028年という数字も「絶対に動かない日付」ではなく、現在NASAが目標としているスケジュールとして理解するのが適切です。
「米国人以外で初」という目標にも条件が付いている
日本人が米国人以外で初めて月面に立つという日米の共通目標にも、重要なベンチマークの達成が前提とされています。日本は有人与圧ローバをはじめ、アルテミス計画へのさまざまな技術的貢献を進めています。
つまり、日本人宇宙飛行士の搭乗時期だけをNASA側の都合で決めるのではなく、日米双方の計画進捗、技術開発、宇宙飛行士の訓練、ミッションごとの役割分担などを調整する必要があります。
「日本人に2回の月面着陸機会がある」という合意と、「何年何月に誰が着陸する」という搭乗決定は別の話です。 この違いを押さえておくと、ニュースの見出しだけを見て時期を誤解しにくくなります。
「2028年」「2020年代後半」という情報はどう判断すればいい?

日本人の月面着陸については複数の年が報じられてきたため、どの情報が正しいのかわかりにくくなっています。重要なのは、古い予定と現在の予定、NASA全体の月面着陸時期と日本人の搭乗時期を分けて考えることです。
2028年は「最初の着陸可能性がある年」であって確定年ではない
2028年という数字には明確な根拠があります。NASAが現在、アルテミスIVによる最初の有人月面着陸を2028年初頭に予定しているからです。日本政府も2020年代後半の日本人月面着陸を目標としているため、両方のスケジュールは一致する部分があります。
したがって、アルテミスIVのクルーに日本人が選ばれれば、2028年に日本人初の月面着陸が実現する可能性があります。
しかし、まだ日本人の搭乗は発表されていないため、「日本人が2028年に月面着陸する予定」と言い切ると一歩先走った表現になります。現段階では「2028年が有力候補の一つ」「早期に実現する場合はアルテミスIVが注目される」という理解が適切です。
2029年になっても「2020年代後半」という政府目標には入る
2020年代後半とは一般に2020年代の後ろ半分を指すため、2028年だけを意味するわけではありません。アルテミスIVで日本人が選ばれず、2029年のミッションなどで月面着陸する展開も、政府が掲げてきた大きな時間軸とは矛盾しません。
NASAは月面への一度きりの往復ではなく、継続的な探査を目指しています。そのため、日本人に確保された2回の月面着陸機会も、同じミッションに2人が乗るという意味ではなく、将来の複数の月面探査ミッションで実現していくことが想定されます。
特定の1回だけにすべてを賭ける計画ではない点は、日本人の月面着陸を考えるうえで見落とされやすいポイントです。
確定情報を知るには「クルー発表」を見るのが重要
日本人の月面着陸時期が本当の意味で具体化するのは、NASAやJAXAから対象ミッションと搭乗宇宙飛行士が発表されたときです。それまでは、ミッション全体の日程から可能性を推測することはできても、確定とはいえません。
特に注目したいのは、アルテミスIV以降のクルー発表です。日本人宇宙飛行士の名前が月面着陸クルーとして公表されれば、「誰が」「どのミッションで」「いつごろ」月面へ向かうのかが一気に具体化します。
宇宙ミッションでは打ち上げ予定日が変更されるケースも珍しくないため、クルー決定後も実際の着陸日についてはNASAやJAXAの最新発表を確認する必要があります。
アルテミス計画で日本人が月面に立つ日は2028年以降に注目
アルテミス計画で日本人宇宙飛行士が月面に立つ具体的な日は、2026年9月時点では決まっていません。ただし、日本人の月面着陸が単なる構想の段階というわけでもありません。2024年の日米間の取り決めによって、日本人宇宙飛行士には2回の月面着陸機会が確保されています。
さらに、重要な条件の達成を前提として、日本人を「米国人以外で初めて月面に着陸する宇宙飛行士」とすることも日米の共通目標です。日本政府は2026年のアルテミス計画変更後も、2020年代後半の日本人月面着陸を目指す方針を示しています。
NASAの最新計画では、2027年のアルテミスIIIは地球低軌道での実証ミッションとなり、最初の有人月面着陸は2028年初頭のアルテミスIVです。そのため、日本人初の月面着陸は早ければ2028年が候補になりますが、現時点では2028年と確定していません。
誰が月へ行くのかについても未発表です。今後、アルテミスIV以降のクルーにJAXA宇宙飛行士が指名されるかが最大の注目点になります。現段階では「日本人の月面着陸は実現に向けた具体的な枠組みがあり、2020年代後半を目標としている。ただし搭乗ミッションと宇宙飛行士はまだ決まっていない」と理解しておくのが最も正確です。



