「月面開発をしている日本企業はどこなのか」「ispace以外にはどんな会社が関わっているのか」と気になる人も多いでしょう。日本の月面開発には、宇宙ベンチャーだけでなく、自動車、重工、建設、タイヤ、エネルギーなど幅広い業界の企業が参加しています。
ただし、各社の立ち位置は大きく異なります。すでに機器を月へ送った企業もあれば、2030年代の有人月面活動を想定して研究開発している企業もあります。ここでは2026年9月時点の公開情報をもとに、代表的な日本企業と役割、現在地、将来性を見るときのポイントを整理します。
月面開発を進める日本企業はどこ?主要企業を一覧で確認

日本の月面開発で特に名前が挙がる企業は、ispace、トヨタ自動車、三菱重工業、ダイモン、Honda、高砂熱学工業、ブリヂストン、清水建設、鹿島建設などです。
重要なのは、これらの企業が同じ事業を競争しているわけではないことです。月面への輸送、探査車、有人移動、電力供給、水資源利用、建設といった異なる領域を担当し、将来的には一つの月面インフラを構成する関係にあります。
| 企業 | 主な月面開発分野 | 現在の主な位置づけ |
|---|---|---|
| ispace | 月着陸船、月面輸送、ローバー、通信・データ | 複数回の月ミッションを実施し、次世代ランダーを開発 |
| トヨタ自動車 | 有人与圧ローバー | JAXAと「ルナクルーザー」を研究開発 |
| 三菱重工業 | LUPEXローバー、H3ロケット、宇宙機関連 | 月極域探査と月面輸送の両面に関与 |
| ダイモン | 超小型月面探査車 | 月面探査車「YAOKI」を開発 |
| Honda | 月面エネルギー | 水素・酸素・電気を循環させるシステムを研究開発 |
| 高砂熱学工業 | 水電解、水資源利用 | 月面用水電解装置を実際に宇宙へ輸送 |
| ブリヂストン | 月面探査車用タイヤ | 空気を使わない月面用タイヤの実用化を目指す |
| 清水建設 | 月面基地、自動施工、現地資源利用 | 月面インフラや月面データセンターを検討 |
| 鹿島建設 | 無人施工、人工重力居住施設 | 自動建設技術や「ルナグラス」を研究 |
「日本の月面開発企業はどこか」という問いに一社だけ答えるなら、民間月面輸送を事業の中心に置くispaceが最も分かりやすい存在です。ただし、有人探査まで含めればトヨタや三菱重工、インフラまで含めればHondaや建設会社も欠かせません。
民間月面開発の中心として注目されるispaceとダイモン

日本企業の中でも、実際に月へ宇宙機やロボットを送り込むことを主事業としている企業として分かりやすいのが、ispaceとダイモンです。特にispaceは月面輸送そのものを商用サービスにしようとしている点で、大手企業とは立ち位置が異なります。
ispaceは月への輸送をビジネスにする企業
ispaceは東京都に本社を置く宇宙スタートアップで、月着陸船「ランダー」や月面探査車「ローバー」の開発を進めています。主な事業構想は、企業や研究機関の観測装置、実験機器などを月周回軌道や月面へ運ぶ輸送サービスです。
2023年のミッション1と2025年のミッション2では、いずれも月面への軟着陸完了には至りませんでした。一方、ミッション2では月周回軌道への投入をはじめ、設定した10段階のマイルストーンのうち8段階まで達成しています。
そのため、ispaceについて「すでに月面輸送が完成した会社」と見るのは正確ではありませんが、実際に宇宙機を月周回軌道まで運用した経験を持つことも事実です。月面開発企業を見るときには、失敗したか成功したかだけではなく、どの工程まで技術を実証したかを見る必要があります。
2026年時点では新型月着陸船「ULTRA」の開発を進め、2028年のミッション3での打ち上げを計画しています。2026年7月には三菱重工とH3ロケットによる打ち上げ輸送サービス契約を締結しており、国産ランダーと国産ロケットを組み合わせた月面輸送を目指している点も注目されます。
ダイモンは超小型月面探査車「YAOKI」を開発
ダイモンは、超小型月面探査車「YAOKI」を開発する日本企業です。月面ローバーは高価で大型になるほど月までの輸送負担も増えるため、小型・軽量化によって多数のローバーを送り込むという考え方には独自の強みがあります。
YAOKIは2025年の月面ミッションで米Intuitive Machinesの月着陸船とともに月面へ到達しました。着陸船が想定とは異なる姿勢になったため、YAOKIを輸送ケースから月面へ放出して走行させることはできませんでしたが、ケース内で機能を動作させ、月面の画像データを地球で受信しています。
完全な月面走行には至っていないものの、「試作機を地上で走らせている段階」と「実際に月まで機器を送り、現地からデータを取得した段階」には大きな違いがあります。ダイモンは日本の月面ロボット分野を見るうえで注目したい企業です。
パートナー企業が2026年に公表した計画では、2027年度後半に「Project YAOKI 2」として2機のYAOKIを月へ送り、資源探査へ挑戦する計画も示されています。
月面開発では「月に行った」と「月面で運用できた」を分けて見る
月面開発企業を比較するときに見落とされやすいのが、ミッションの到達段階です。ロケットで打ち上げる、月周回軌道へ到達する、月へ着陸する、機器を展開する、月面で走行・実験するという工程は、それぞれ別の技術的ハードルがあります。
例えば月着陸船に搭載されて月まで到達した機器であっても、着陸船が正常に着陸できなければ本来の月面実験は行えません。反対に、最終目標を達成できなかったミッションでも、航行や通信、熱設計、機器耐久性などでは実績が積み上がります。
したがって、日本企業の月面開発力を見る場合は、壮大な将来構想だけでも、ミッションの成否だけでも判断せず、構想、試作、地上実証、打ち上げ、月到達、着陸、月面運用のどこまで進んでいるかを確認するのが実用的です。
トヨタと三菱重工は日本の有人・大型月面探査を支える

スタートアップが比較的小型の月着陸船やローバーで商業利用を狙う一方、国の宇宙探査計画と深く結び付いているのがトヨタ自動車と三菱重工業です。長期間の有人活動や大型探査機では、自動車や大型宇宙機の開発で蓄積された信頼性が重要になります。
トヨタは有人与圧ローバー「ルナクルーザー」を開発
トヨタ自動車はJAXAと2019年から、月面で宇宙飛行士が移動・生活できる有人与圧ローバーの研究開発を進めています。トヨタでの愛称は「LUNAR CRUISER(ルナクルーザー)」です。
「与圧」とは、宇宙飛行士が宇宙服を着続けなくても車内で活動できるよう、内部の気圧や空気を維持する仕組みを意味します。単なる月面自動車ではなく、移動できる小型の居住・研究施設に近い存在です。
月面は真空で、激しい温度変化や放射線があり、細かな月の砂であるレゴリスにも覆われています。その環境で長期間走行するため、トヨタが自動車開発で培った耐久性、走破性、燃料電池、車両制御などの技術を生かす計画です。
JAXAが2026年時点で示している計画では、有人与圧ローバーは2031年の打ち上げを目標としており、約10年間でおよそ1万kmを走行する構想です。月面開発を長期的に見るなら、日本企業の中でも特に規模の大きなプロジェクトの一つといえます。
三菱重工はLUPEXローバーとH3ロケットの両方に関わる
三菱重工業は、JAXAとインド宇宙研究機関ISROが進める月極域探査計画「LUPEX」で、ローバーシステムや地上管制システムの開発を担当しています。
LUPEXの目的は、月の南極域に存在する可能性がある水について、量や存在状態を調べることです。同時に、将来の探査に必要になる移動、掘削、長期間の機器運用といった技術の獲得も目指しています。JAXAの2026年時点の計画では、打ち上げ年度は2028年度とされています。
三菱重工は探査車だけでなく、日本の基幹ロケットH3の打ち上げ輸送にも関わります。2026年にはispaceの新型ランダーULTRAを2028年にH3で打ち上げる契約も締結しました。
つまり三菱重工は、「月面を探査する機械」と「月へ向かうための宇宙輸送」の双方で関係する企業です。月面開発を単なるローバー競争としてではなく、輸送まで含む産業として考えると存在感が大きいことが分かります。
日本の有人月面探査は企業単独ではなく国際計画の一部
トヨタや三菱重工の取り組みを理解するには、日本の月面開発がNASAのアルテミス計画を含む国際宇宙探査と結び付いていることも押さえておく必要があります。
2024年には日本とNASAの間で有人与圧ローバーによる月面探査について実施取決めが結ばれました。日本側が与圧ローバーを提供し運用を維持する一方、NASA側はローバーの月面への輸送と、日本人宇宙飛行士が月面で活動する機会を2回提供する内容が規定されています。
日本企業の月面技術は単独で月へ進出するだけでなく、日本が国際月面探査で担う役割そのものになりつつあります。特に有人与圧ローバーは、日本の自動車産業と宇宙産業を結び付ける象徴的なプロジェクトです。
Hondaと高砂熱学工業は月面の電力・水資源利用を狙う

人間やロボットが月面で長期間活動するには、移動手段だけでは足りません。電気、酸素、水素などをできるだけ現地で確保する必要があります。この分野で日本企業の技術が生かされているのが、Hondaと高砂熱学工業です。
Hondaは月の夜を乗り越えるエネルギーシステムを研究
Hondaは、高圧水電解システムと燃料電池システムを組み合わせた「循環型再生エネルギーシステム」の研究開発を進めています。
想定されている仕組みは、太陽光で得た電力によって水を電気分解し、水素と酸素として貯蔵するものです。太陽光を利用できない時間には、貯めた水素と酸素を燃料電池へ送り、再び電気と水を作ります。
月面では昼と夜がそれぞれ長く続くため、太陽光だけに依存すると夜間の電力確保が大きな課題になります。大量のバッテリーを地球から運ぶ方法もありますが、輸送重量は月面開発のコストを左右します。エネルギーを水素と酸素として貯蔵する仕組みが成立すれば、長期活動に重要な選択肢になります。
HondaはJAXAとの研究開発に加え、2025年には米Astroboticと、同社の垂直型太陽電池システムとHondaの循環型再生エネルギーシステムを組み合わせる検討を開始しました。さらにコア部品をISSで試験する計画も進めており、単なるアイデアから宇宙環境での検証へ移ろうとしている点が注目されます。
高砂熱学工業は月面用水電解装置を実際に宇宙へ送った
高砂熱学工業は、空調設備で知られる企業ですが、水素関連技術を生かして月面用水電解装置を開発しています。
同社が開発した装置はispaceのミッション2のRESILIENCEランダーに搭載され、2025年1月に打ち上げられました。ランダーが月面へ着陸した後、水を電気分解して水素と酸素を生成する実験を予定していました。
実際にはispaceのランダーが2025年6月の着陸に成功しなかったため、月面での水素・酸素生成実験は実施できませんでした。ただし、水電解装置は打ち上げ時の振動や宇宙空間での長期航行を経ても、着陸直前まで健全な状態が確認されています。
高砂熱学工業とispaceは、月面の土壌などを加熱して水を取り出す「サーマルマイニング」の技術実証についても検討しています。月に存在する水を取り出し、水素や酸素へ変換できれば、生命維持だけでなくロケット燃料などへの利用可能性も広がります。
ブリヂストン・清水建設・鹿島建設は月面インフラを支える

月面活動が本格化すると、着陸船や探査車だけでなく、タイヤ、道路や整地、居住施設、倉庫、通信設備なども必要になります。現在は研究・実証段階のものが多いものの、日本の製造業や建設会社が持つ技術との相性が良い分野です。
ブリヂストンは空気を使わない月面タイヤを開発
ブリヂストンは2019年から月面探査車用タイヤの研究開発を進めています。
地球で一般的な空気入りタイヤは、真空や極端な温度変化がある月面ではそのまま使用できません。そこでブリヂストンは、金属などを使った弾性構造によって柔らかく変形し、レゴリスの上でも走破性を確保するタイヤを研究しています。
2025年にはispaceと中小型月面探査車向けタイヤの実用化を目指す基本合意書を締結しました。ispaceのローバー試作機へブリヂストンのタイヤを装着して地上試験を行い、最短で2029年頃の実用化を目指す方針が示されています。
月面タイヤは一見すると小さな部品ですが、ローバーが移動できなければ探査や資源採取は進みません。月面経済が拡大したときに必要となる「部品・インフラ型ビジネス」の例として見ることができます。
清水建設は月面基地と自律施工を研究
清水建設は1980年代から宇宙建設に関する研究を進めてきた企業です。現在は月面拠点を想定し、自律施工、遠隔建設、月の砂であるレゴリスの利用、居住施設など幅広い技術を研究しています。
月では建設作業員を大量に送り込むことができないため、建設機械が自律的に作業する仕組みが重要になります。建物についても、完成した巨大施設を地球から運ぶのではなく、小さく折り畳んで輸送し、現地で膨らませるインフレータブル構造などが検討されています。
さらに2026年4月にはispaceと、地球と月の間を含む「シスルナ空間」のインフラ構築について基本合意を締結しました。検討テーマには月面データセンターも含まれています。
清水建設の特徴は、単なる未来の月面都市イメージだけでなく、自律施工やインフレータブル構造など、月面で実際に建設するための要素技術へ踏み込んでいることです。
鹿島建設は無人施工と人工重力施設を研究
鹿島建設もJAXAと、月面拠点建設を想定した遠隔施工・自動化施工の研究を進めています。
同社が地上の建設現場で開発してきた自動化施工システムの知見を応用し、人が現場にいない環境でも建設機械を動かせる技術の実現を目指しています。月から地球までは通信に時間差があるため、地球からすべてを手動操作するのではなく、機械側がある程度自律的に判断する仕組みが必要です。
鹿島建設は京都大学との共同研究で、回転による遠心力を利用して地球に近い重力環境を作る月面人工重力居住施設「ルナグラス」も提案しています。
ただし、ルナグラスは月着陸船やローバーのように数年以内の実用化が計画されている設備ではなく、長期的な宇宙居住を想定した研究構想として見る必要があります。月面開発企業を比べる際には、このような将来構想と直近の実証計画を混同しないことが大切です。
日本企業の月面開発はなぜこれほど多業種に広がっているのか

月面開発というとロケット会社や宇宙機メーカーだけの市場に見えますが、実際には地球上の都市を一から作ることに近い側面があります。そのため、自動車、建設、エネルギー、素材、通信、食品など多様な企業に参入余地があります。
月面では地球から何でも運ぶ方法が現実的ではない
月面開発で最大の制約の一つが輸送です。ロケットには搭載できる重量と容積に限界があり、月で必要になる設備をすべて地球から持っていけばコストも膨らみます。
そのため月の水やレゴリスを利用するISRU、つまり「現地資源利用」が重要視されています。水から酸素や水素を作る、水素をエネルギーや燃料に利用する、レゴリスから建材や金属を作るといった技術が実用化すれば、地球から運ばなければならない物資を減らせます。
ここに高砂熱学工業の水電解技術、Hondaの燃料電池技術、清水建設などの資源利用・施工技術が関係してきます。宇宙専業企業だけでは解決できない課題だからこそ、地上産業の技術が必要になります。
「輸送→探査→資源→インフラ」という産業の連鎖が生まれる
月面ビジネスが成立すると仮定すると、最初に必要なのは物資を月まで運ぶ輸送です。その後、ローバーで地形や資源を調べ、利用価値の高い場所を特定し、電力・通信設備や建物などを整備する流れが考えられます。
この流れに日本企業を当てはめると、ispaceや三菱重工が輸送、ダイモンやトヨタ、三菱重工が移動・探査、Hondaや高砂熱学工業がエネルギー・資源利用、ブリヂストンが足回り、清水建設や鹿島建設が拠点建設という関係になります。
つまり月面開発は「最終的に一社が勝つ市場」というより、異なる企業の技術が接続されて初めて成り立つ産業と考えるほうが実態に近いでしょう。
月面で磨いた技術を地球へ戻せることも企業の狙い
月面事業だけで短期間に大きな利益が出なくても、企業には参加する理由があります。月面は真空、放射線、極端な温度変化、砂地、限られた電力など、非常に厳しい環境だからです。
そこで開発した省エネルギー技術、自動運転、ロボット、エアレスタイヤ、水素システム、無人施工技術などは、地球上の災害現場、鉱山、砂漠、インフラ不足地域といった過酷な環境へ応用できる可能性があります。
月面開発への参入は、将来の宇宙市場を取るためだけではなく、極限環境を使って自社技術を高度化する研究開発という意味も持っています。
月面開発企業を投資・就職・将来性で見るときの注意点

月面開発企業を調べる目的が、単なる興味ではなく投資や就職先選びである場合は、会社名だけでは判断できません。特に「月面開発に参加している」という表現が、企業によって意味するものが大きく違う点には注意が必要です。
月面開発への依存度は企業によって大きく違う
ispaceのような宇宙スタートアップにとって、月面輸送や月関連サービスは事業の中心です。そのため月着陸ミッションの成否、次回ミッションの延期、開発費や資金調達などが会社の将来に与える影響も大きくなります。
一方、トヨタ、Honda、三菱重工、ブリヂストン、清水建設、鹿島建設などは本業として巨大な既存市場を持っています。月面プロジェクトが重要な研究テーマであっても、現在の会社全体の売上や利益に占める割合は限定的な場合があります。
投資目的で月面関連企業を見るなら、「月面開発に参加しているか」だけでなく、その事業が将来どの程度会社の業績へ影響する可能性があるのかまで分けて考える必要があります。
計画発表よりも契約・試験・打ち上げ実績を見る
宇宙業界では、10年、20年先を想定した魅力的な構想が数多く発表されます。しかし、構想を発表したことと、事業が実用化目前であることは同じではありません。
企業の進捗を見る場合は、実際の顧客がいるか、政府や宇宙機関との正式な契約があるか、試作機を製作しているか、環境試験を通過しているか、打ち上げ契約があるか、実際に月まで到達したか、といった具体的な事実を確認すると判断しやすくなります。
| 開発段階 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 構想・研究 | 技術的な成立性や共同研究先 |
| 試作・地上実証 | 実機製作、耐久試験、模擬月面試験 |
| 契約・打ち上げ準備 | 顧客、宇宙機関、ロケット会社との契約 |
| 宇宙実証 | 打ち上げ、航行、通信が実際にできたか |
| 月面実証 | 着陸後に走行、観測、実験ができたか |
| 商用運用 | 継続的に顧客から収益を得られるか |
就職先として見るなら宇宙専業企業以外にも選択肢がある
月面開発の仕事をしたい場合も、宇宙専業の会社だけに絞る必要はありません。実際のプロジェクトには、自動車、電気・電子、機械、材料、建築・土木、ソフトウェア、通信、エネルギーなど幅広い専門分野が必要です。
例えばローバーだけでも、車体、モーター、電源、制御ソフトウェア、カメラ、通信装置、タイヤ、熱制御など多くの技術で構成されます。月面基地になれば建築、施工管理、環境制御、水処理などさらに仕事の範囲が広がります。
そのため「宇宙会社に入る」という視点より、「自分の専門技術を月面のどの課題に生かせる企業か」という視点で探すほうが、候補となる日本企業は増えます。
月面開発企業を比べるなら、「月に関係しているか」ではなく「輸送・探査・移動・資源・電力・建設のどこを担い、現在どの開発段階にいるか」で整理すると違いが分かりやすくなります。
月面開発を進める日本企業はどこかを役割別に見るのがポイント
日本で月面開発を進める代表的な企業には、月面輸送を事業の中心とするispace、有人与圧ローバーを開発するトヨタ、LUPEXローバーやH3に関わる三菱重工、超小型ローバーYAOKIを開発するダイモンがあります。
さらに、月面エネルギーを研究するHonda、水電解・水資源利用に取り組む高砂熱学工業、月面タイヤを開発するブリヂストン、月面基地や自律施工を研究する清水建設・鹿島建設など、地上のさまざまな産業で培われた技術が集まっています。
現在の日本の月面開発は、一社が月面都市を造る段階ではなく、輸送、移動、電力、資源、建設という必要な技術を複数企業がそれぞれ育てている段階です。
どの企業が有望かを見る場合も、知名度だけでなく、構想なのか実証段階なのか、実際に月へ機器を送った実績があるのか、政府・JAXA・海外宇宙機関との契約があるのかを確認すると、各社の現在地と将来性をより正確に判断できます。



