「スマホで星空を撮影したいけれど、都会だと空が明るくて何も写らない」「肉眼では星が見えるのに、写真では街灯だけが目立つ」と悩む人は少なくありません。都会では人工照明によって夜空が明るくなるため、暗い郊外と同じ感覚で撮影すると星が埋もれやすくなります。
ただし、最新のスマホにはナイトモードや天体撮影機能を備えた機種もあり、撮影場所、固定方法、露出を工夫すれば都市部でも明るい星や星座を写真に残せます。この記事では、スマホで星空を撮影するコツを、都会で失敗しやすいポイントも含めて具体的に解説します。
スマホで星空を撮影するコツは「固定・遮光・露出」の3つが重要

都会でスマホの星空撮影を成功させるうえで、最初に高価な機材や細かなカメラ設定を覚える必要はありません。特に重要なのは、スマホを動かさないこと、街灯などの強い光を避けること、空を明るくしすぎないことです。
「三脚などで固定する」「街灯を画面に直接入れない」「ナイトモードで空が白くなりすぎないよう調整する」だけでも、撮影結果は大きく変わります。
手持ちではなくスマホをしっかり固定する
星は非常に弱い光しか届かないため、夜景や星空の撮影では通常の昼間より長い時間をかけて光を取り込みます。その間にスマホがわずかでも動くと、星がぼやけたり、街の建物が二重に見えたりする原因になります。
小型のスマホ三脚があると便利ですが、必ずしも専用品が必要なわけではありません。安全な場所であれば、手すりやベンチなど安定した場所にスマホを置いて撮る方法もあります。ただし、落下する危険がある場所に置くのは避けましょう。
シャッターボタンを押した瞬間の揺れも意外に影響します。2秒や3秒程度のセルフタイマーを利用すると、画面から指を離してスマホが静止してから撮影できるため成功率が上がります。
街灯や看板の光をレンズに直接入れない
都会の星空撮影では、空そのものの明るさ以上に、近くにある街灯や広告看板が問題になることがあります。強い光がレンズへ直接入ると、写真全体が白っぽくなったり、光のにじみや反射が発生したりします。
場所を大きく移動できない場合でも、建物、木、柱などを利用して街灯だけを隠すと改善することがあります。星空が見える方向は確保しつつ、カメラから直接見える強い光源を減らすのがポイントです。
明るく撮りすぎないことが都会では重要
星を写そうとして露出を増やし続けると、星が明るくなる前に都会の空が灰色や白色に近づいてしまいます。人工照明によって夜空自体が明るくなっているためです。
そのため、都会では「とにかく長時間露光すればよい」とは限りません。ナイトモードで撮った写真を確認し、空が不自然に明るい場合は露出を少し下げる、あるいは撮影時間を短くするほうが星との明暗差を残しやすくなります。
都会で星が写りにくい最大の理由は光害

都会で星空を撮るのが難しい主な理由は、スマホの性能不足だけではありません。環境省も、人工照明から上方向などへ漏れる光によって夜空が明るくなり、星が見えにくくなることを光害の問題として紹介しています。
空が明るいと暗い星が背景に埋もれる
郊外の暗い場所では夜空と星との明るさに大きな差がありますが、都市部では街の光によって背景となる空自体が明るくなります。その結果、明るい星は写っても、暗い星は空の明るさに埋もれやすくなります。
このため、都会から肉眼で満天の星を眺められるような写真を1枚撮影だけで再現するのは難しい場合があります。まずは一等星などの明るい星や、オリオン座のように比較的わかりやすい星の並びを狙うほうが現実的です。
満月の前後は星を写しにくくなる
人工照明だけでなく、月の明るさも星空撮影に影響します。特に満月に近い時期は夜空が明るく照らされ、暗い星とのコントラストが小さくなります。
国立天文台でも、月明かりがある状態では暗い星が見えにくくなり、月が暗くなると周囲の暗い星が見えやすくなる現象を案内しています。星の数をできるだけ多く写したいなら、新月の前後や、月が沈んでいる時間帯を選ぶのが有利です。
一方、星と月を一緒に撮ることが目的なら話は別です。星の数よりも夜景としての雰囲気を重視し、細い月や街並みを構図に取り入れる方法があります。
透明度の高い日を選ぶと都会でも有利
雲がないことだけでなく、空気が澄んでいるかどうかも重要です。湿気や霞が多い日は街の光が空全体へ広がって見えやすく、星とのコントラストが低下します。
晴れていて遠くの景色まで比較的くっきり見える日や、雨が上がったあとなどは撮影しやすくなることがあります。ただし、地面が濡れている場所や強風時は三脚が不安定になりやすいため、安全を優先してください。
都会で星空を撮りやすい場所と時間帯の選び方

スマホの設定を変えるより、撮影場所を変えたほうが大きな効果を得られるケースもあります。都会では完全な暗闇を探す必要はありませんが、空が広く見えて、カメラの近くに強い照明がない場所を選ぶことが重要です。
公園や河川敷など空が広く見える場所を探す
周囲を高層建築に囲まれた場所では見える空の範囲が狭くなり、街灯や窓の照明も入り込みやすくなります。比較的大きな公園、河川敷、海沿いなど、視界が開けた場所のほうが星を狙いやすくなります。
ただし、「暗い場所ほどよい」という理由だけで立入禁止区域や危険な場所へ入ってはいけません。夜間利用が禁止されている公園もあるため、開園時間や利用ルールを確認しましょう。
頭上だけでなく街明かりの少ない方向を探す
同じ場所に立っていても、空の明るさは方向によって変わります。繁華街や駅前、高層ビル群の方向は明るくても、反対側の空は比較的暗いことがあります。
スマホを空に向けて何枚か試し撮りし、背景が最も暗く写る方向を探す方法が実用的です。撮りたい星座が決まっている場合は、星座アプリなどで方角と高度を確認しておくと構図を決めやすくなります。
日没直後ではなく空が十分暗くなってから撮る
太陽が沈んだからといって、すぐに星空撮影に適した暗さになるわけではありません。日没後もしばらく空には太陽の光が残ります。
GoogleはPixelの天体写真に関する公式案内で、星を撮影する場合は日没から少なくとも45~90分以上経ってから撮ることを案内しています。季節や場所によって条件は変わりますが、日没直後に星が写らない場合は設定を疑う前に空が十分暗くなるまで待つことも大切です。
| 条件 | 撮影しやすさ | 理由 |
|---|---|---|
| 新月前後・月が出ていない | 撮りやすい | 夜空が暗く、星との明暗差を作りやすい |
| 満月前後 | やや難しい | 月明かりで暗い星が目立ちにくい |
| 空気が澄んだ晴天 | 撮りやすい | 霞による街明かりの広がりが少ない |
| 霞や薄雲がある | 難しい | 人工照明が空に反射して明るく見えやすい |
| 街灯がレンズ正面にある | 難しい | フレアや白っぽい写りの原因になる |
スマホで星空を撮影するときのカメラ設定

撮影場所を整えたら、スマホのカメラ設定を調整します。基本は標準カメラアプリのナイトモードで十分ですが、マニュアル撮影に対応している機種ではISO感度やシャッタースピードを自分で調整する方法もあります。
まずはナイトモードを使う
初心者の場合、最初からISOやシャッタースピードを細かく設定するより、スマホ標準のナイトモードを利用するのがおすすめです。複数枚の画像を合成するなど、端末側で夜景向けの処理を行ってくれます。
重要なのは、撮影が終了するまでスマホを動かさないことです。数秒間のカウントダウンが表示された場合は、処理が終わるまで本体や三脚に触れないようにします。
マニュアル撮影では低めのISOから試す
ProモードなどでISO感度を変更できるスマホでは、ISOを上げるほど暗い星を写しやすくなる一方、写真のざらつきであるノイズも増えます。特に都会では背景の空まで明るくなりやすいため、高ISOにすれば必ず良くなるわけではありません。
機種や周囲の明るさによって適切な数値は異なりますが、ISO400~800程度から試し、星がほとんど見えなければ上げ、空が明るすぎたりノイズが目立ったりする場合は下げる方法がわかりやすいでしょう。
シャッタースピードは短めから確認する
暗い場所では10秒以上の露光が役立つケースもありますが、都会では長く開けるほど街の光まで蓄積されます。まず1~4秒程度から試して、暗すぎれば少しずつ延ばす方法が扱いやすいです。
露光時間を長くしすぎると、地球の自転によって星が点ではなく短い線のように写ることもあります。どの程度から目立つかはレンズの画角や写真を見る大きさによって異なるため、実際の写真を拡大して確認してください。
| 設定項目 | 都会での考え方 |
|---|---|
| 撮影モード | まずナイトモード。対応機種では天体撮影モードも有効 |
| ISO感度 | マニュアル撮影なら400~800程度を出発点に調整 |
| シャッタースピード | 1~4秒程度から試し、暗ければ延ばす |
| ピント | 遠景・無限遠を基準に調整 |
| フラッシュ | 基本的にオフ |
| セルフタイマー | 2~3秒程度を利用するとシャッター時の揺れを防ぎやすい |
| ズーム | 基本はデジタルズームを多用せず1倍付近から試す |
表の数値は万能な正解ではありません。都会の明るさは場所によって大きく異なるため、1枚撮影して確認し、「空が白いなら露出を減らす」「星が見えないなら少し増やす」という調整が最も実用的です。
ピントは遠くの星に合わせる
夜空にはカメラがピントを判断するための明るい被写体が少なく、オートフォーカスが迷うことがあります。ピントを手動で設定できる場合は、遠距離または無限遠付近を基準にします。
Google Pixelの夜景モードでは、対応する操作環境でフォーカスを「遠距離」に設定でき、4メートル以上離れた夜空などへピントを合わせる用途として案内されています。他のスマホでもマニュアルフォーカスが利用できる場合は同じ考え方が使えます。
iPhone・Pixel・Galaxyで星空を撮る方法

スマホによって星空撮影に利用できる機能は異なります。特別なアプリを追加しなくても十分撮れる機種が増えているため、まず標準機能を確認するのがおすすめです。
iPhoneはナイトモードと三脚を活用する
Appleによると、対応するiPhoneでは暗い場所を検出するとナイトモードが自動的に有効になります。ナイトモードはiPhone 11以降で利用でき、周囲の暗さによって露光時間が自動的に設定されます。
星空を撮る場合はiPhoneを三脚や安定した場所へ置き、ナイトモードの露光時間を利用して撮影します。Appleも、より精細なナイトモード写真を撮る方法として三脚の使用を案内しています。
撮影中に画面上へ十字カーソルが表示された場合は、iPhoneが動きを検出しています。カーソルを合わせるように固定するとブレを減らせます。
Google Pixelは天体写真機能が便利
Google Pixelには、対応機種で天体写真機能が利用できます。公式案内では、暗い場所で夜景モードを選択し、スマホを三脚などへ固定すると、静止状態を検出して天体写真モードへ切り替わる方法が案内されています。
Googleは、街の明かりなど人工照明が少ない場所へ移動すること、スマホを手で持たず固定すること、風がある場合は地面に近づけるなどして安定させることも推奨しています。
Pixel 4a(5G)以降については、天体写真機能が1倍以上のズーム設定で利用できるという条件も案内されています。Pixelを使っているのにモードが切り替わらないときは、固定状態やレンズ倍率も確認するとよいでしょう。
Galaxyは対応機種ならExpert RAWも使える
一部のGalaxyではSamsungの「Expert RAW」を利用でき、ISO、シャッター速度、ホワイトバランス、露光、フォーカスなどを手動で調整できます。JPEGだけでなくRAW形式でも保存できるため、撮影後に明るさや色を細かく整えたい人にも向いています。
2026年8月時点のSamsung公式案内では、対応するExpert RAWに特殊写真オプションがあり、天体写真を撮影できる機種があります。天体写真モードでは撮影時間を調整でき、対応環境では星座の位置を確認できるスカイガイドも利用できます。
Expert RAWや天体写真機能の対応状況はGalaxyのモデルによって異なります。アプリ内に項目が表示されない場合は非対応の可能性があるため、使用中のモデルの公式サポート情報を確認してください。
都会なら星だけでなく街並みを入れると写真がまとまりやすい

都会では暗い場所のように大量の星を写すことが難しいため、「星の数」で勝負するより都市の景観を生かした構図にするのも有効です。ビル、タワー、橋、木のシルエットなどを組み合わせると、少ない星でも場所の雰囲気が伝わる写真になります。
空だけを画面いっぱいにしない
星が数個しか写らない都会では、空だけを撮影すると何を撮ったのかわかりにくい写真になることがあります。画面の下3分の1程度に建物や木を入れ、残りを夜空にするだけでも奥行きが生まれます。
建物を入れる場合は照明が明るすぎないものを選びましょう。看板や強い街灯が大きく入ると、その明るさにカメラの露出が引っ張られ、星が見えにくくなることがあります。
デジタルズームより撮影後のトリミングを検討する
星を大きくしたいからといってデジタルズームを大きくすると、画質が粗くなったり手ブレの影響が目立ったりする場合があります。まず1倍付近のメインカメラで撮り、必要なら撮影後に切り抜くほうが扱いやすいケースがあります。
超広角カメラも広い星空を入れるには便利ですが、メインカメラよりセンサーやレンズの条件が不利な機種では、暗所画質が低下することがあります。星がうまく写らないときは、画角より明るさを優先してメインカメラを試してください。
撮影後は黒つぶれさせず自然に調整する
写真編集では、露出、シャドウ、ハイライト、コントラストなどを少し調整すると星が見やすくなります。都会の空が黄色やオレンジ色に見える場合は、色温度を調整することで自然な夜空へ近づけられる場合もあります。
ただし、コントラストや黒レベルを極端に変更すると、空の一部だけが不自然に黒くなったりノイズが目立ったりします。星がほとんど写っていない写真から編集だけで大量の星を出すことは難しいため、まず撮影時に光害を抑えることが重要です。
RAW撮影に対応するスマホでは、JPEGより撮影後の調整幅を確保しやすいという利点があります。ただしファイル容量が大きくなるため、普段はJPEGやHEIF、星空を本格的に仕上げたいときだけRAWという使い分けでも十分です。
スマホの星空撮影でよくある失敗と改善方法

星空撮影では、写真を見れば原因をある程度推測できます。「星が写らない」「空が白い」「写真がぼやける」など、失敗のタイプに合わせて設定を変えるほうが、やみくもに撮り直すより効率的です。
星がほとんど写らない場合
まず街灯などの強い光がレンズに入っていないか確認してください。それでも暗い場合は、ナイトモードを有効にする、露光時間を少し長くする、ISO感度を上げるといった調整を行います。
設定を変えても改善しない場合は、撮影環境そのものが明るすぎる可能性があります。同じ地域でも公園の奥や河川敷などへ移動するだけで条件が変わるため、カメラ設定だけにこだわらないことが大切です。
空が白やオレンジ色になってしまう場合
これは露出が長すぎる、ISO感度が高すぎる、あるいは街の光が強すぎるケースが考えられます。露出補正をマイナス方向へ下げたり、マニュアル撮影ならシャッタースピードを短くしたりして調整します。
都会の星空撮影では、明るさを上げるより「空の明るさを抑えて星とのコントラストを残す」という発想が重要です。
星も建物もぼやける場合
写真全体がぼやけているなら、最初に手ブレを疑います。三脚の脚が不安定でないか、風で揺れていないか、シャッターボタンを押した直後に本体が振動していないか確認しましょう。
スマホが安定しているのに星だけがぼやける場合は、ピントが合っていない可能性があります。マニュアルフォーカスに対応している場合は遠距離や無限遠付近へ設定し、明るい星を拡大して確認すると調整しやすくなります。
明るい星しか写らない場合は失敗とは限らない
都会では光害によって暗い星が背景に埋もれるため、設定が正しくても明るい星しか写らないことがあります。これはカメラの故障や撮影ミスとは限りません。
その場合は、より暗い撮影場所へ移動する、新月前後を狙う、透明度の高い日に撮るといった環境面の改善が必要です。都会の中心部でISOや露光時間だけを極端に増やしても、星より空の明るさやノイズが増える可能性があります。
| 失敗 | 主な原因 | 改善方法 |
|---|---|---|
| 星が写らない | 露出不足・周囲が明るすぎる | 固定してナイトモードを使い、より暗い場所も探す |
| 空が白っぽい | 露出過多・光害 | 露出を下げ、街灯を避ける |
| 写真がぶれる | 手持ち・シャッター時の振動 | 三脚とセルフタイマーを使う |
| 星がぼやける | ピントずれ | 遠距離または無限遠付近へ調整する |
| ノイズが多い | ISO感度が高すぎる | ISOを下げ、固定したうえで露光時間とのバランスを取る |
スマホで都会の星空を撮影するコツまとめ
都会でも、現在のスマホなら条件を整えることで明るい星や星座を撮影できます。最も大切なのは、カメラの細かな数値を覚えることより、スマホを固定し、近くの強い照明を避け、空を明るくしすぎないことです。
まず三脚や安定した場所へスマホを固定し、セルフタイマーとナイトモードを使って撮影してみましょう。空が白ければ露出を減らし、暗すぎれば少し増やします。マニュアル撮影に対応している場合でも、ISOを上げ続けるのではなく、背景の空と星のバランスを確認しながら調整することがポイントです。
さらに、新月前後や月が出ていない時間、空気が澄んだ夜、公園や河川敷など視界が開けた場所を選べば成功率を高められます。iPhoneのナイトモード、Pixelの天体写真機能、対応GalaxyのExpert RAWなど、機種固有の機能も活用すると撮影の幅が広がります。
都会では満天の星だけを狙うより、ビルや橋、木のシルエットなど街の景色と星を組み合わせるのも魅力的です。まずは明るい星がいくつか写る条件を見つけ、場所や露出を少しずつ変えながら自分のスマホに合った設定を探すのが、星空撮影を上達させる近道です。


