ISS後継の民間宇宙ステーションはどうなる?2030年以降の候補4計画と日本への影響

ISS後継の民間宇宙ステーションはどうなる?2030年以降の候補4計画と日本への影響
ISS後継の民間宇宙ステーションはどうなる?2030年以降の候補4計画と日本への影響
宇宙生活と宇宙ステーション

ISS(国際宇宙ステーション)は2030年までの運用が予定されており、その後は民間企業が運営する宇宙ステーションへ役割を移していく計画です。「ISSの後継はどの宇宙ステーションになるのか」「日本の『きぼう』や日本人宇宙飛行士はどうなるのか」と気になる人も多いでしょう。

2026年9月時点では、ISSに代わる1つの巨大施設が決まっているわけではありません。Axiom Station、Starlab、VastのHavenシリーズ、Orbital Reefなど複数の計画が並行して進んでおり、NASA自身も将来は宇宙ステーションの所有者ではなく「サービスを購入する顧客」になる方針です。ここではISS後継の全体像と有力候補、日本への影響をわかりやすく整理します。

  1. ISS後継の民間宇宙ステーションはどうなる?1つではなく複数になる可能性が高い
    1. ISSは2030年まで運用され、その後は制御して大気圏へ再突入する計画
    2. NASAは宇宙ステーションの「所有者」から「顧客」へ変わる
    3. NASAが1社だけを「ISS正式後継」に決めるとは限らない
  2. ISS後継として開発されている主な民間宇宙ステーション4計画
    1. Axiom StationはISSに接続してから独立する独特の方式
    2. Starlabは設計段階から製造・統合段階へ進みつつある
    3. VastはまずHaven-1を飛ばし、その経験をHaven-2へつなげる
    4. Orbital Reefは「宇宙のビジネスパーク」を目指す大型構想
  3. 民間宇宙ステーションは2030年のISS退役に本当に間に合うのか
    1. ステーションを打ち上げるだけではISSの後継にはならない
    2. NASAも2030年までに1社へ一本化している段階ではない
    3. 一時的に有人拠点が途切れる可能性は完全には否定できない
  4. ISSから民間宇宙ステーションへ変わると何が違うのか
    1. 巨大な1施設より用途に合わせた複数施設になりやすい
    2. 宇宙旅行より研究・製造が重要な収益源になる可能性がある
    3. 宇宙飛行士が365日滞在し続けるとは限らない
  5. ISS後継時代に日本と「きぼう」はどうなるのか
    1. 現在の「きぼう」をそのまま次のステーションとして使うわけではない
    2. 日本も「自前で巨大ステーションを持つ」より利用枠を確保する方向
    3. HTV-XはポストISSでも日本の強みになる可能性がある
    4. 日本人宇宙飛行士が行けなくなるわけではないが、自動的に席があるわけでもない
  6. 結局どの民間宇宙ステーションがISS後継の本命なのか
    1. AxiomはISSからの移行という点で独自の強みがある
    2. Starlabは研究需要と国際的な顧客獲得で存在感が大きい
    3. VastはHaven-1を実際に飛ばせれば一気に有力になる
    4. 見るべきなのは完成予想図ではなく2027~2029年の実績
  7. ISS後継は「政府の巨大基地」から「複数の民間宇宙ステーション」へ

ISS後継の民間宇宙ステーションはどうなる?1つではなく複数になる可能性が高い

最初に結論を整理すると、ISSの後継は「新しいISSが1基できる」という形ではなく、複数の民間宇宙ステーションをNASAや各国、企業、研究機関が利用する形になる可能性が高いです。

ISSは米国、ロシア、日本、欧州、カナダなどが協力して所有・運用する巨大な国際施設でした。ポストISS時代には、この仕組みそのものが大きく変わります。

ISSは2030年まで運用され、その後は制御して大気圏へ再突入する計画

NASAの2026年8月更新情報では、米国、日本、カナダ、ESA加盟国はISSを2030年まで運用する方針で、ロシアもロシア区画を2030年まで運用する計画です。老朽化したISSをそのまま何十年も残すのではなく、運用終了後には安全に軌道を下げ、大気圏へ再突入させる計画になっています。

NASAはISSを安全に軌道離脱させるための「U.S. Deorbit Vehicle」の開発・提供先としてSpaceXを選定しています。つまり、現在のISSそのものを改修して次世代ステーションとして使い続けるのが基本計画ではありません。

NASAの最新情報はInternational Space Station Frequently Asked Questionsで確認できます。

NASAは宇宙ステーションの「所有者」から「顧客」へ変わる

ポストISSを理解するうえで最も重要なのが、NASAの立場の変化です。NASAは将来の低軌道活動について、民間企業が所有・運営するCommercial LEO Destinations(商業低軌道拠点)から必要なサービスを購入する方針を示しています。

航空会社に例えるなら、NASA自身が航空機と空港をすべて所有するのではなく、民間企業が整備した交通・施設サービスを必要な分だけ購入するような考え方です。NASA以外にも各国政府、大学、製薬会社、半導体企業、宇宙旅行客などが顧客になることを想定しています。

ISS後継で変わるのは宇宙ステーションの形だけではありません。「政府が施設を所有する時代」から「民間施設を政府も利用する時代」への転換が最大のポイントです。

NASAが1社だけを「ISS正式後継」に決めるとは限らない

2026年9月時点で、NASAが「この1社をISSの後継にする」と最終決定したわけではありません。NASAは複数企業の商業宇宙ステーション開発を支援しており、その後に安全性や能力を確認したうえで、1社または複数社からサービスを購入する考えです。

2026年7月には次段階に向けた提案依頼書のドラフトも公表されました。今後の競争では、単にステーションを打ち上げられるかだけでなく、安全に有人運用できるか、研究設備を提供できるか、継続的に資金を確保できるか、NASA以外の顧客を集められるかが重要になります。

ISS後継として開発されている主な民間宇宙ステーション4計画

ISS後継候補として特に注目されているのが、Axiom Station、Starlab、VastのHaven-1・Haven-2、Blue Originを中心とするOrbital Reefです。それぞれ開発思想がかなり異なります。

計画 主な特徴 現在の注目点
Axiom Station ISSに接続したモジュールを将来独立させる ISSからポストISSへ段階的に移行しやすい
Starlab 研究・商業利用を重視した独立型ステーション 設計審査が進み、日本企業も利用枠を確保
Haven-1・Haven-2 小型ステーションから実績を積み上げる Haven-1を2027年に打ち上げる計画
Orbital Reef 宇宙の複合型ビジネスパークを目指す Blue OriginなどがNASA支援下で開発継続

Axiom StationはISSに接続してから独立する独特の方式

Axiom SpaceのAxiom Stationは、他の候補とは少し異なる方法で建設されます。当初から完全に独立したステーションを打ち上げるのではなく、まず商業モジュールをISSに接続し、ISSの運用終了前に切り離して独立した宇宙ステーションへ移行する構想です。

2024年にNASAとAxiom Spaceは組み立て順序を変更し、電力・熱制御などを担うPayload Power Thermal Moduleを先に投入する計画に変更しました。これにより、Axiom Stationは早ければ2028年にもISSから独立して自由飛行できる構成を目指しています。

ISSを利用しながら機能を確認できるため、移行の連続性という面では大きな利点があります。一方、打ち上げ時期やモジュール構成はこれまでにも変更されているため、今後もスケジュールが調整される可能性があります。詳細はNASAのAxiom Station計画で確認できます。

Starlabは設計段階から製造・統合段階へ進みつつある

StarlabはVoyager Technologiesなどが推進する商業宇宙ステーションで、Airbusをはじめ複数企業が関わっています。研究、技術開発、宇宙製造、政府利用など幅広い需要を想定した拠点です。

2026年2月にはNASAが参加するCommercial Critical Design Reviewを完了したと発表され、詳細設計から製造・システム統合へ進む重要な段階に入りました。計画が実際のハードウェア製造に近づいていることを示すポイントです。

日本との関係も深まっています。三菱商事は2026年1月、Starlabへの追加出資に加え、宇宙ステーション内の実験区画の使用権を取得しました。日本の企業や研究機関がポストISS時代にも宇宙実験を続けるための具体的な動きといえます。

VastはまずHaven-1を飛ばし、その経験をHaven-2へつなげる

Vastの特徴は、最初からISS級の大型ステーションを完成させようとせず、小型ステーションで実際の有人飛行経験を積みながら拡張していく点です。

最初のHaven-1は4人に対応する比較的小型のステーションで、Vastは2027年の打ち上げを掲げています。宇宙飛行士の輸送にはSpaceXのDragonを使用し、政府ミッションや民間宇宙飛行士、研究などに利用する計画です。

その先に位置するのが本格的なISS後継を狙うHaven-2です。Vastは最初のモジュールを2028年から運用する構想を示しており、複数モジュールを段階的に増設する計画です。現在のロードマップでは完成形に向けて2030年代初頭まで拡張していく想定で、詳細はVastの公式ロードマップで公開されています。

Haven-1とHaven-2は同じものではありません。Haven-1は小型商業ステーションとして有人運用実績を作る役割が大きく、ISS級の継続的な活動を担う本命として設計されているのがHaven-2です。

Orbital Reefは「宇宙のビジネスパーク」を目指す大型構想

Orbital ReefはBlue OriginとSierra Spaceを中心に進められているプロジェクトです。研究施設だけではなく、企業活動、製造、観光などさまざまな用途を受け入れる「Mixed-Use Business Park in Space」という構想を掲げています。

NASAはOrbital Reefの生命維持システムや居住区設計などの技術開発を支援しており、2026年時点でもCommercial LEO Development Programの開発対象として掲載しています。Blue OriginのNew Glennを含め、同社が構築する宇宙輸送インフラとの組み合わせも注目されます。

ただし、Axiom StationやHaven-1のように直近の有人運用開始時期が目立つ計画とは進め方が異なります。現段階では「脱落した」と見るべきではありませんが、今後のNASAの次段階選定や具体的な建設スケジュールが重要な判断材料になります。

民間宇宙ステーションは2030年のISS退役に本当に間に合うのか

ポストISSで最も大きな不確定要素がスケジュールです。各社はISS運用終了前後のサービス開始を目標にしていますが、「打ち上げ成功」と「ISSの代わりとして使える状態」は同じではありません。

ステーションを打ち上げるだけではISSの後継にはならない

有人宇宙ステーションには、生命維持、電力、熱制御、姿勢制御、通信、火災対策、緊急退避、ドッキングなど非常に多くのシステムが必要です。さらに宇宙飛行士を安全に長期間滞在させ、研究設備を安定運用できなければNASAが本格利用することはできません。

特に重要なのは、地上試験で正常だった機器が長期間の宇宙環境でも機能することを実証する作業です。VastがHaven-1で先に運用実績を作ろうとしているのも、このリスクを段階的に減らせるためと考えられます。

そのため「2027年打ち上げ予定だから、2027年からISSを完全に置き換えられる」と考えるのは早計です。

NASAも2030年までに1社へ一本化している段階ではない

NASAは現在、複数企業を競争させながら開発を進める方式を取っています。2026年7月にNASAが公表した次段階のドラフトRFPでも、ISSから商業宇宙ステーションへ円滑に移行し、米国の低軌道有人活動を維持することが大きな目的とされています。

つまり、2026年時点は「ISS後継が完成して運用待ち」という段階ではなく、有力企業が設計審査、製造、試験、顧客獲得を競っている段階です。NASAの最新状況はCommercial Space Stations in Low Earth Orbitで随時更新されています。

一時的に有人拠点が途切れる可能性は完全には否定できない

NASAはISSから民間ステーションへの「シームレスな移行」を目標にしています。しかし宇宙開発では、ロケット、宇宙船、生命維持装置などの不具合によって数年単位で予定が遅れることも珍しくありません。

複数社を同時に支援していることには競争を促す意味だけでなく、1社が遅れたときのリスクを分散する意味もあります。Axiom Stationが先に独立するケース、Vastが先に有人実績を確立するケース、Starlabなどが本格的な長期滞在を担うケースなど、複数の移行パターンが考えられます。

2030年という年だけを見て「その日にISSから新ステーションへ乗り換える」と考えるのは正確ではありません。2027年頃から2030年代初頭にかけて複数施設が段階的に立ち上がる移行期間になる可能性があります。

ISSから民間宇宙ステーションへ変わると何が違うのか

民間宇宙ステーションへの移行は、運営者が変わるだけではありません。施設の規模、利用方法、宇宙飛行士の滞在方法、研究の目的にも変化が出てくると考えられます。

巨大な1施設より用途に合わせた複数施設になりやすい

ISSは長さ100メートルを超える巨大施設で、多数のモジュールや大型太陽電池パネルを備えています。複数国の政府が共同利用するため、多様な用途を1つのステーションに詰め込んできました。

民間時代には必ずしも同じ規模を再現する必要はありません。研究中心の施設、製造を重視する施設、短期滞在中心の施設など、需要に応じたステーションが複数存在するほうが商業的には合理的な場合があります。

したがって「ISSより小さいから後継として劣る」と単純に判断するのは適切ではありません。必要な機能を小型・低コストの設備で提供できるかが重要になります。

宇宙旅行より研究・製造が重要な収益源になる可能性がある

民間宇宙ステーションというと宇宙ホテルを想像しがちですが、NASAが期待しているのは観光だけではありません。微小重力を利用した創薬研究、細胞研究、新素材、半導体、宇宙機器の実証、地球観測など幅広い利用があります。

Starlabでは日本の三菱商事が実験区画の使用権を確保し、米国企業も半導体材料などの研究・製造利用を計画しています。商業ステーションが継続して運営されるには、政府需要だけでなく、このような民間需要をどれだけ増やせるかが重要です。

宇宙旅行はわかりやすい市場ですが、長期的には研究・製造・技術実証を安定的なビジネスにできるかが成否を左右すると考えられます。

宇宙飛行士が365日滞在し続けるとは限らない

ISSでは2000年以降、人類が継続して宇宙に滞在してきました。しかし民間ステーションでは、すべての施設に常時宇宙飛行士を配置する必要はありません。

短期間だけ4人が訪問し、その後しばらく無人運用する小型ステーションも考えられます。一方、NASAが研究や有人宇宙技術の継続のために求める能力を満たす大型施設では、長期滞在が行われる可能性があります。

ロボット操作や地上からの遠隔実験が発達すれば、人間が常駐しなくても実行できる仕事は増えます。ISS後継を考える際には「宇宙ステーション=常に大勢が住んでいる施設」という固定観念を外したほうが実態を理解しやすくなります。

ISS後継時代に日本と「きぼう」はどうなるのか

日本にとって重要なのは、ISSがなくなった後も低軌道で研究を続け、日本人宇宙飛行士を送り、物資輸送などの技術を維持できるかです。JAXAもすでにポストISSを前提とした準備を進めています。

現在の「きぼう」をそのまま次のステーションとして使うわけではない

日本実験棟「きぼう」は2008年からISSで運用され、日本の有人宇宙活動と宇宙実験の中心となってきました。しかしJAXAは「きぼう」について2030年を目途に運用終了を予定していると説明しています。

現在の「きぼう」をISSから切り離してそのまま独立ステーションとして長期間使用する計画が示されているわけではありません。JAXAはむしろ、ISSが利用できる現在のうちに民間企業へ実験サービスや運用ノウハウを移し、ポストISSでも宇宙環境利用を継続できる仕組みづくりを進めています。

「きぼう」という現在の施設を残すことより、「きぼう」で培った技術・実験サービス・運用能力を次の民間ステーションへ引き継ぐことが、日本のポストISS戦略の重要なポイントです。

日本も「自前で巨大ステーションを持つ」より利用枠を確保する方向

JAXAは2025年、ポストISSにおける低軌道利用サービスの調達について民間企業から情報を集めるRFIを実施しました。2030年以降は日本でも民間主体の活動へ移行することを想定しています。

その動きを象徴するのが三菱商事によるStarlabへの出資と実験区画使用権の取得です。2026年7月にはDigitalBlastもStarlabの利用予約契約を発表しました。Vastについても日本企業との連携が進んでいます。

これらを見ると、日本が数兆円規模の独自宇宙ステーションを丸ごと建設するより、海外の商業ステーションに日本企業が出資したり、利用枠や実験設備を確保したりする形が現実的です。1つのステーションだけに依存せず、複数拠点へのアクセスを確保する考え方も重要になるでしょう。

HTV-XはポストISSでも日本の強みになる可能性がある

日本は宇宙ステーションそのものだけでなく、物資輸送でも重要な技術を持っています。「こうのとり」の後継として開発された新型宇宙ステーション補給機HTV-Xは、2025年に1号機が打ち上げられ、2026年5月に一連のミッションを完了しました。

JAXAはHTV-Xについて、次号機以降は月・火星探査だけでなく、ポストISSを見据えた将来の宇宙ステーションへの物資補給にも活用できる発展性を持たせる方針を示しています。

民間ステーションが複数できれば、荷物を定期的に届ける輸送サービスの市場も生まれます。日本にとってはステーション本体の所有権だけでなく、補給、実験設備、ロボット、軌道維持などの分野で存在感を確保することも重要です。JAXAの方針はHTV-X1号機ミッション完了の発表でも確認できます。

日本人宇宙飛行士が行けなくなるわけではないが、自動的に席があるわけでもない

ISSでは日本が国際パートナーとして参加し、「きぼう」の提供などを通じて日本人宇宙飛行士の活動機会を確保してきました。民間ステーションでは契約構造が変わるため、同じ仕組みがそのまま続くとは限りません。

一方、NASAやJAXAなどの政府機関が民間ステーションの利用サービスを購入すれば、そのミッションに日本人宇宙飛行士が参加することは十分考えられます。さらに民間企業が独自に宇宙飛行士を派遣する可能性もあります。

つまり「ISSがなくなる=日本人が宇宙へ行けなくなる」わけではありませんが、研究利用や輸送サービスなどを含め、日本がポストISSの国際的な枠組みにどの程度参加するかが将来の活動機会を左右します。

結局どの民間宇宙ステーションがISS後継の本命なのか

現段階では1社だけを本命と断定するより、それぞれの強みと今後の実証状況を見る必要があります。NASA自身が複数候補を維持していることからも、勝者が1社だけになるとは限りません。

AxiomはISSからの移行という点で独自の強みがある

Axiom StationはISSへモジュールを接続し、その後独立させる方式なので、現在のISSから新しい民間ステーションへ活動を移すという点では非常にわかりやすい計画です。NASAとの有人飛行実績を持つことも強みです。

ただしモジュールの打ち上げ順序はすでに変更されており、計画通りに軌道上で組み立て、独立運用へ移行できるかが今後の重要ポイントになります。

Starlabは研究需要と国際的な顧客獲得で存在感が大きい

Starlabは2026年に重要な設計審査を通過し、製造・統合へ進んでいます。さらに三菱商事などNASA以外の顧客が利用枠を確保している点は、商業宇宙ステーションとして重要です。

NASAが目指しているのは「NASAだけがお金を払わなければ維持できない宇宙ステーション」ではありません。そのため民間企業や海外ユーザーから実際の需要を集めていることは、技術面とは別の大きな評価材料になります。

VastはHaven-1を実際に飛ばせれば一気に有力になる

Vastにとって最大の注目点は2027年を予定するHaven-1です。予定通り打ち上げ、有人ミッションを成功させれば、宇宙ステーションを実際に製造・打ち上げ・運用した実績を他社より早く積める可能性があります。

一方、Haven-1はISSそのものを置き換える大型施設ではありません。Haven-1で得た技術と運用実績を、本格的なHaven-2へどれだけ早く展開できるかが本当の勝負になります。

見るべきなのは完成予想図ではなく2027~2029年の実績

商業宇宙ステーション各社は魅力的な完成予想図を公開していますが、宇宙開発では計画図よりハードウェアの完成度が重要です。今後は「どこが最も豪華に見えるか」ではなく、実際に圧力容器が完成したか、打ち上げ契約が確定したか、生命維持装置の試験を通過したか、有人飛行を成功させたかを見る必要があります。

加えてNASAの次段階でどの企業が支援・サービス調達対象になるのか、NASA以外の顧客をどれだけ獲得できるのかも重要です。

現時点で最も現実的なのは「1社が新ISSになる」という予想ではなく、Axiom、Starlab、Vastなど複数の施設が役割を分担し、NASAや日本を含む各国が目的に応じて利用する未来です。

ISS後継は「政府の巨大基地」から「複数の民間宇宙ステーション」へ

まとめ
まとめ

ISSは2030年まで運用され、その後は安全に軌道離脱させる計画です。現在のところ、同じ規模・同じ仕組みの「ISS2」を建設する予定はなく、Axiom Station、Starlab、Haven-2、Orbital Reefなど民間企業による複数の宇宙ステーションへ活動を移していく方向です。

2026年9月時点では最終的な勝者は決まっていません。AxiomはISSから段階的に独立できること、Starlabは設計成熟度と顧客獲得、VastはHaven-1による早期の有人実証、Orbital Reefは大型商業拠点としての拡張性にそれぞれ特徴があります。

日本についても「きぼう」がそのまま残るのではなく、そこで培った宇宙実験、補給、ロボット、運用技術を民間時代へ引き継ぐことが重要になります。三菱商事によるStarlabの利用区画確保や、JAXAによるポストISS向け技術開発など、すでに具体的な準備も進んでいます。

ISSがなくなることは、人類の低軌道活動が終わることではありません。むしろ2030年前後は、1つの国際宇宙ステーションを共同運営する時代から、複数の民間宇宙ステーションを政府・企業・研究機関が使い分ける時代への転換点になると考えるのが適切です。

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